映画「ROMA」

よかった。「メキシコを舞台にした、ある家族と家政婦の愛の物語」という情報だけ仕入れてみたんですが、これはもうちょっといろいろいろいろ知識入れといたほうが楽しめたかもな。なくても特に問題ないけどメイキング見るともう一度見たくなった。

引きのカメラ、全てのものに合ったピント、長回し、凝った音響。これらによって観客は、ドキュメンタリーを超えた、ただただ観察する、時間を切り取って客観視するという視点を与えられる。

キュアロン監督は「自分の思い出を題材にして、台本も作らず、自分の感覚だけを頼りに作った」と話していたが、この撮影方法は題材を私的なものに止まらせず、観客にとっても非常に新鮮で興味深い映像として提供される。

全編モノクロでクラシックな印象だが機材は最先端で、むしろ先端技術のダイナミックレンジの大きさによってモノクロの良さが出ているとも言える。

参考

www.webdice.jp

ROMAのためだけにNetflixに入るのは全然ありだと思う。メイキングも見た方がいい。

この映画は当時の家具や街並みを徹底的に再現しているそうだが、その話で監督が「細部にこだわると開放感が得られる」と言っていて、なるほど、と思った。開放感…たしかに模造品ではなく本物がそこにあれば、役者もスタッフも「フリ」をしなくてすむ。その分脳のリソースが開放され身軽になれる、ということと読んだ。

ところでこの映画はNetflix独占配信だが、もともとは大きなスクリーンをターゲットにして作られていて製作費も15,000,000ドルくらいしてるらしい。映画館 vs 配信 の構図が出来上がって久しく、配信だけでもやれるんだ、という風潮もあるが、モノを言うのは予算をしっかり取られて作られた作品なのだ。


メイキングまで見た上でのごく私的な感想を言うと、振り返って自分の少年時代を客観的に再現してみるとあまりに無様で情けない場面がいくつか思い浮かぶ。ただやりかたが下手だったこともあれば心根が曲がっていて見てられないものもある。それを間近で見ていた両親は(ROMAは家族の映画なのでこの場合の登場人物も家族になる)今更僕にそんな指摘はしないが、その分割り切れない思いを飲み込んでいることであろう。

自分もそういった「飲み込む役割」を受け入れていかないといけないな、といういつものように少しあさって方向の感想でした。