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Testament / Keith Jarrett

ピアノ好き、ジャズ好き、音楽好きはこのアルバム絶対お勧めですよ。

Paris London: Testament

Paris London: Testament

ジャズピアニストのキースジャレットは全く前準備がなく、観衆の前でその場で一人ピアノを即興演奏するソロ・コンサートで知られていて、有名なアルバムにケルン・コンサートがあります。

それで、キースジャレットのソロコンサートのアルバムってあもう一曲がやたら長い傾向があるんですよね…30分とか40分とか普通にある。その中でハーモニーを掴み取ろうともがく様子であったりとか、旋律が展開していくさまを楽しむとか、そういうことが自然にできないと結構疲れると思います。僕はあまりできません。ボヤーっと聴いて「あ、いいじゃーん」と思うくらいしかできない。一回は通して聴いてもあとは断片的に聴いたりBGMとして流したりしてます。それでも凄くいいと思える音楽ですが。

そんなソロコンサートですが、キース本人が行き詰まりを感じ一旦コンサートは休み、一人でスタジオに篭りフルートやパーカッションを自演し多重録音したアルバム「spirits」を発表します。これまだ僕は聞いてませんがキースジャレット史では外すことの出来ないアルバムだそうです。近いうちに買って聴きたい。

Spirits

Spirits

そしてその頃にこれも有名な、スタンダード曲ばかりを演奏するピアノトリオ「スタンダーズ・トリオ」の活動を開始します。そんでソロコンサートのアルバムとしては「Dark Interval」がspiritsの二年後に、復帰作として出たと。この「Dark Interval」から曲が短くなり6~10分くらいのものが中心になっていったそうです。

曲が短いと物足りなさを感じる方もいらっしゃるみたいなんですが、やっぱり曲が短いと聞きやすいですね。聞く側の体力的にもそうですし、これまでは一曲にいろんな表情がありましたがそのそれぞれにトラックが振られたようなパッケージングの気持ちよさがある。ユーザビリティっていうんですかね。

「Testament」は3枚組みですが、僕はDisc3が一番好きです。難解なものから書き置きしていたかのような見事なバラードまで曲が多彩です。特にバラードは本当に美しい。完全即興の「ソロ・コンサート」だなんて聞く側も演奏する側も新規性とか独自性を求めてしまいそうですが、なんの躊躇もなく王道でただただ美しいハーモニーを奏でる覚悟と自信に感動します。

「キースのソロを聴こう」というときに一番食指の伸びるアルバムですが不満な点もあります。それは観客の歓声です。演奏が終わってすぐ、まだピアノの残響が残ってる状態で拍手したらアカン!!このアルバムでは拍手がやたら早い気がする。キースはコンサートを行う場所ごとに霊感を得て即興演奏をするそうです。そこに観客のいる緊張感とかもろもろの条件が必要で、スタジオ録音ではなくライブ録音という形式をとっているのだろうと推測します。それで観客の前で演奏して、もし演奏によって客の反応がマチマチだったらそれを収録する意味は大いにあると思います。難解な演奏に戸惑ったり仮にそれがブーイングだとしても。しかしキースは大物になりすぎました。もう観客はキースがどんな演奏しても「素晴らしい」と判断するほかにないのです。なので曲が終わる前から用意していた紋切り型の歓声を上げる。残響まで聞く必要はない。「キースジャレットなんだから素晴らしいに決まってる」。

別にブーイングしろって言ってるわけじゃないんですけど、こういう歓声はカットできないのかねえ。