リヒャルト・シュトラウスとヘルマン・ヘッセ

東京春祭、3/23にはリヒャルト・シュトラウス特集があるんですね。

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これを聞きにいく予定で今R.シュトラウスについて色々予習しています。オーボエ協奏曲が今のところお気に入りです。映画で有名な「ツァラトゥストラはかく語りき」はこの人の作曲ですが、それは今回やらないみたいですね。東京文化会館の小ホールが会場なので室内楽メインのようです。残念。

R.シュトラウスは歌曲で有名で、その中でも晩年に作曲された「四つの最後の歌」はとりわけ親しまれていたそうです。それらの曲も今回演奏されると言うことで図書館でCDを借りて聴いていて、当然、最近まで聴いていた古典派とは違う和声感や転調に新鮮さと不慣れさを感じていました。「なんかハリーポッターのサントラみたいな手触りだなあ」だなんて素人丸出しの感想を持ったりして。

「四つの最後の歌」は歌曲ですがポップスとは当然歌い方が違うわけで、歌詞もドイツ語のようで最初から読もうとはせず、歌も演奏の一部として歌も聴きながしていました。

しかし、しかしどうやらこの4曲のうち3曲はヘルマン・ヘッセの詩に曲をつけたものらしい!

ヘルマン・ヘッセ、大好きなんです。1年前本屋で何気なく手に取ったデミアンに衝撃を受け、それまで全く本を読まなかった自分が本に興味を持つようになったのはヘッセのおかげなのです。先日「ナルティスとゴルトムント」を読みました。ヘッセ作品は大切に、少しずつ読み進めていくスタンスです。


詩がヘッセのものと知って俄然興味が湧き、さらに調査をすすめる(つまりググる)。ヘッセとR.シュトラウスは同時代の人間で面識もあったそうです。そしてヘッセはR.シュトラウス嫌悪していたそうな。「職人的な技巧はあるが核心が無い」とかなんとか。

そしてその背景にはR.シュトラウス帝国音楽院の総帥としてナチスに協力的であった事実があります(と見られています)。ヘッセはナチスに批判的でドイツ国内では憂き目に遭っていたとあって 、ナチスに迎合したR.シュトラウスは鼻持ちならなかったのではないか、と。しかしR.シュトラウスにとってはナチスユダヤ迫害から身内を守るための表向きの迎合としてやむを得ない選択だったようです。

ヘッセは自身の詩につけられた音楽に対しては「絶対に中立的な立場を取る」と公言したそうで、詩につけた曲を贈られても感想などは基本的には述べなかったそうです。R.シュトラウスはよっぽど気に入らなかったのか笑 そしてそれとは対照的に絶賛している作曲家もいます。

それは友人であるオトマール・シェックの「十の歌(ヘッセ歌曲集)」で、これはもう絶賛しているそうです。自分は聴いたことないですが。聴かなければ・・・

ナチスに協力的だったR.シュトラウスの曲をこき下ろし友人のシェックは絶賛し、と見るとものすごく個人的な感情で判断しているのではないかと思ってしまいます笑 でもそれがヘッセらしいのかもしれない。「ナルティスとゴルトムント」には思想と感情を引き離す「知」を司るナルティス、感情のままあるがままに物事にぶつかり直情的な「愛」のしもべゴルトムントが登場し、ゴルトムントは芸術家としてその生を全うする、不条理な感覚で世界を理解する方法もある、そういう話がありました。

ヘッセは音楽ではバッハやモーツァルトを好んでいたそうです。ベートーヴェンはあんまり、のようで残念。この部分を見ると感情的なものより音の構成美を好んでいるように思われます。なんかこう書くと誤解を招きそうですが、つまり作曲家の感情よりも音の並び、ハーモニーの美しさがヘッセの心を震わせていた、ということでしょう。

最近僕も音の構成美を楽しめるようになったなあと実感してます。コンサートのチケットを買って、半ば強引にクラシックを聴く日々を続けていたのですがだんだんと古典派の和声の響きやその動きが快感になってきました。ポップス好きがクラシックを退屈に感じるのはこの「和声の響きを感じる」下地が無いからではないかと思います。踊れるリズムや過激な音色、派手なメロディもいいですが、単音同士の響き合いに意識を向ければきっとクラシックを楽しめる!はず。

 

【余談】漫画家のつげ義春さんは音楽はバッハより前のものが好きで、その理由は「それ以降は作曲家の個性が出すぎる」からだそうです。(参考)し、渋い・・・

R.シュトラウス:四つの最後の歌 他

R.シュトラウス:四つの最後の歌 他

Aufbruch-目覚めよ ~ヘッセとゲーテによる歌曲集

Aufbruch-目覚めよ ~ヘッセとゲーテによる歌曲集

ヘルマン・ヘッセと音楽

ヘルマン・ヘッセと音楽


参考

http://teapot.lib.ocha.ac.jp/ocha/bitstream/10083/4576/1/KJ00004857920.pdf
R.シュトラウスとH.ヘッセ、そしてシューベルトとゲーテ : くまぐす音楽館2
気ままな生活 リヒャルト・シュトラウス/歌曲「4つの最後の歌」
リヒャルト・シュトラウスのオーボエ協奏曲 : 鎌倉スイス日記