読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

映画「風立ちぬ」の予習には宮崎駿監督の「出発点」を読めば良いよ多分

試写会を見ても無いのに言うのもナンですが、そう思います。

 

鈴木敏夫Pの言うことは差し引いて考えないといけませんが、でもこの映画はやっぱり宮崎監督の自伝なんじゃないかなと思うわけです。

 

ただ、「風立ちぬ」が特別そうというわけではなく、これまでも宮崎監督作品は全部が監督自身なのです。ポルコやトトロのようなキャラクターが監督の化身なのは言うに及ばず、王蟲や油屋やハウルの動く城宮崎駿の自然観、仕事観、家族観をそのまま写したものでした。しかし当然宮崎駿飛行艇乗りの豚じゃないし、毛むくじゃらの不思議な生き物ではない。舞台だって日本は多くない。時代も考えると世界観が宮崎監督の体験に基づいてるのはトトロくらいでしょうか。つまり、これまでも映画の世界は宮崎監督そのままでしたが、時代、舞台、キャラクターでその部分が見えなくなっていた。映画作りとは作り手自身を写すものなのでしょうが、それが偽装されてきました。

 

しかし今回の主人公の二郎は、日本に生まれ、会社に属し、自分の理想を掲げて仕事に打ち込む一人の青年です。これまでで最も実際の宮崎監督に肉薄している。

これまでで一番宮崎監督に近い人物の人生を、監督がこれまで通り自身を投影して描く。つまり自伝となるわけです。

 

というわけで、「風立ちぬ」をもっと楽しもう、理解しようとするなら原作小説の「風立ちぬ」(堀辰雄)や堀越二郎氏の著作を読むよりも宮崎駿監督のインタビュー、コラム、対談を収録した「出発点」を読むのが何よりも良いと思います。

 

この本は宮崎監督が仕事、趣味、家族、それから人間、自然、戦争など、とにかく多岐にわたって語りまくる、ファンの聖典とも言える書。1996年までのものしかないですが、作品とは離れた対談やコラムも多く、満足できる内容です。続刊に当たる「折り返し点」ではネタがつきたのか作品別(もののけ姫〜ポニョ)にしか編集されておらず、少し微妙かも。

個人的に好きなのはナウシカ以前の東映動画など色々な制作会社を渡り歩いていた時期を振り返っているインタビュー記事。日本アニメの黎明期の活気溢れる雰囲気がありありと伝わってきます。このへんの群像劇はまさに宮崎アニメの仕事観そのままで、男が真摯に仕事に取り組むという「風立ちぬ」でも大きなウェイトを占めていると思われます。

というわけで映画「風立ちぬ」の予習として、宮崎駿監督の「出発点」はおすすめです。気楽に過去の映画で「紅の豚」を見てもイイと思います。仕事観もそうですが、細かい動作(手回しエンジンとか)に宮崎監督の飛行機への想いが見て取れます。

 

あと荒井由美の「ひこうき雲」は聞いておいて損は無いと思います。劇場で聞くと泣いてしまうかもしれないなあ。その予防ということで。